驚くほど何も書く気が起きていなかっただけである。
この間に、cooking crushは終わってしまったし久しぶりに転んで膝から血が出た。
人間というのは、常に想定しながら生きている。
この青信号はいずれ赤になる。
12時過ぎたら13時が来る。
夜眠ったら朝になる。
タクシープールで待っていればタクシーが来る。
これらの想定が大きく外れた時、私たちはパニックに陥る。
青信号がピンクになったら。あるいは、真っ暗になったら。
12時がずっと続いたら。
夜眠っても朝が来なかったら。
タクシープールに馬が来たら。
頭が真っ白だ。船場吉兆だ。
何が起きたか分からない、なんてこともある。
電車とホームの隙間に落ちたら、誰だって頭が真っ白になる。船場吉兆だ。電車だけど。
頭が真っ白になった時の態度は、おそらくその人の本質だ。
叫ぶ人もいるだろう。泣く人もいるだろう。
私はというと、平静を装う。
「大丈夫です、ありがとうございます」
助けてくれた人に粛々と礼を言う。
圧倒的に電車とホームの隙間に挟まっているのに、
大丈夫なわけないだろう。
客観的に見れば、その冷静さすら滑稽である。
スックと立ち上がると、適当に吊り革に捕まり、次の駅で降りた。
恥ずかしかったわけではない。
乗る必要がなかったのだ。
意味が分からない?そうだ。意味が分からない。
我は、一から十まで、AtoZ、意味が分からないことをやってのけたのだ。
人生には意味のない瞬間があっても良い。よくない。