都内某所のタイ料理。
ヌアパットなんたらという、和名牛肉のオイスターソース炒め。
美味しい。
牛肉とオイスターソース。
美味しいに決まってるじゃないか。
確かに美味しい、美味しいのであるが、
添えてあるお米が…日本のソレなのである。
日本のご飯添えてしまうと、横についている牛肉のオイスターソース炒めは「牛肉のオイスターソース炒め」になってしまう。
平成初頭に発生した米不足、日本人はタイ米を食べよう運動をしていた。
人々は言う。タイ米は美味しくない。
子どもの私は思っていた。
タイ米は美味しい、と。
日本米の口でタイ米食べるから美味しくないと感じるのだ。
高級チーズケーキだって、刺身の口で食べたら美味しくなくなってしまう。
そういうことだ。
大人は愚かだと思っていたが、無邪気に振る舞いながらも内心を隠す飄々とした子どもだった私は、決して誰にも言わなかった。
タイ米は、美味しい。